広島市は広島駅-紙屋町間などのLRT化を検討中ですが、ちょっと待ってくれと言いたい。政治に歪められてきた広島都心部の公共交通を中心に扱います。管理人は鉄道などの知識に乏しいので、間違いの指摘は大歓迎です。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
作成中
PR
広島市の中心街はバスセンターのある紙屋町地区・八丁堀地区で、広島駅周辺は商業・業務の集積があまり進んでいません。しかし新球場を広島駅の東およそ1㎞のところに建設することが決まり、それとともに広島駅前地区・新幹線口地区の再開発も動き出しました。広島駅の新幹線口側には広島空港と直結する都市高速5号線の工事も始まり、広島駅は広島市の高速交通網の結節点としての役割が向上することが予想されます。これらの計画が現実化するに従い広島市は従来の紙屋町・八丁堀地区という都市の核とともに、広島駅周辺というもう一つの核がで形成されることになりそうです。そうなるとこの二つの都市の核をどのような交通機関で連絡するのかという問題は、広島の都市機能を向上させるうえで避けて通れません。
従来この区間は広島電鉄の路面電車がメインの交通手段であり、それをバスが補完するという形を取って来ました。しかし路面電車は現在でも朝夕のラッシュ時を中心に定時性が確保されておらず、しかもラッシュ時の混雑は相当のものがあります。そこで路面電車に替えて地下鉄の導入が過去に何度か検討されてきましたが結局実現されず、平成11年に広島市はメインルート(相生通=電車通り)からおよそ500㍍南の平和大通りに新交通システム(東西線=JR広島駅~JR西広島駅)を通し、路面電車はそのまま残すことを含む「広島市の新しい軌道系交通網のマスタープラン」を策定し一応の決着をみました。しかしこのプランは、一番必要性が高く黒字化も視野に入る東西線を建設するためには、車両基地の問題等で、需要が最も薄く大赤字必至の西風新都線(広域公園~JR西広島)を先行して建設せざるを得ない仕組みになっています。このように必要性の極めて薄い路線が抱き合わせになっている計画のため、当然ながら建設費は膨大になりますし(南北線を含めて3000億円なので、東西線と西風新都線だけだと2500億円程度と推測できる)、建設後の黒字化もかなり厳しいことが予想されます。
最近になって、このマスタープラン実現を建前とする広島市は、近年の財政逼迫で西風新都線以外の路線の建設を事実上諦めLRT推進に舵を切ることを明らかにしました。つまり一番必要性の薄い路線だけ残して後は事実上建設を放棄したのです。大赤字になることが必至な西風新都線の建設だけをあきらめないというのも変な話なのですが、その点は後のエントリーで触れることとし、まずは都心部の交通をLRT化することについてです。
わたしは当初この問題に関心がなかったため、「LRTでいいんじゃないの?」と単純に考えていました。しかしよく考えてみると、ラッシュ時の混雑がひどく定時性に欠ける路面電車をLRT化したとしても、【輸送力不足は解消されないのではないか】、また【定時性は確保できるのか】、という点で大いに疑問が生じました。
そこでまず広電のグリーンムーバなどの乗車定員を調べてみたとろ1編成あたり153名で、現在はラッシュ時に1・2・6系統を合計すると1時間に20本あまりの運行しています(およそ3分間隔)。そうすると車両をすべてグリーンムーバにしたとしても輸送力は1時間に約3000人です。
(もちろん定員以上の乗客を運ぶことはできますが、輸送力の比較の上では、とりあえず定員を基本的輸送力とするのが妥当でなので、以下輸送力の比較の上では定員を基準とします)
ただし運転間隔をつめることは可能ということですから、これを2分間隔とすれば輸送力は約4500人/hとなり、1分半間隔にすれば約6000人/hとなります。
それに対してアストラムラインは1編成の定員は約284名で現在ラッシュ時に2分半間隔での運行をしていますから基本的な輸送能力は1時間に約7000人となります。現在の運行間隔をもっとつめられるかどうかについては知識がないので、とりあえずここでは約7000人/hとします。
そうするとLRTを1分半間隔で運転した時の輸送能力とアストラムの輸送力は大して変わらないように見えます。しかしLRTを1分半間隔で定時運行するには困難な問題があります。それは【停留所での乗り降りに時間がかかること】と【信号による時間のロス・運行の乱れ】です。
そのためLRTに本来の輸送力を持たせるためには、「信用乗車システムなどを導入して電停での乗り降りを効率化」し、なおかつ「ラッシュ時に極端な電車優先信号を実施する等」の必要があります。
前者の導入もかなり困難が伴うと言われていますが、より問題なのは後者の方で、後者の問題の解決には「高架・地下化」をするか、少なくともラッシュ時には市内中心部への車両の乗り入れを大幅に規制する「トランジットモール化」を導入する他ないとおいます。そしてトランジットモール化が困難だとすればLRTを地下化または高架化することになろうかとおもいますが、これにはかなりの額の費用が必要になるはずです。仮にそういう手当をしないなら1分半の運行間隔は無理ですから基本的な輸送力は3000人~4500人程度に過ぎないということになりそうです。これはアストラムのおよそ半分~6割程度です。
つまり広電をLRT化しても高架化・地下化を伴わなければ大幅な輸送能力の向上は望めないし定時性の確保も出来ないということです。仮に広電の地下化・高架化を事業化するならそこには多額の税金が投入されることが予想されます。
政府はLRT推進を政策として打ち出していますが、LRTは元々大都市の基幹交通をさばくものではなく、大都市のサブ路線や中小都市で気楽に利用できる便利な市民の乗り物と位置づけるのが一般です。西広島や横川と紙屋町・八丁堀地区を結ぶ路線ならばわたしもLRTに大賛成ですが、広島駅~紙屋町・八丁堀地区をLRTで担わせるのが本当に妥当な選択なのか。他に代替案はないのか。これしかもう残された手段はないのか。
広島市がアストラムのマスタープランを放棄して、輸送能力から見ても中途半端なLRT化を、税金を投入して図るなら、それなりの見通しと他の案より優れているということを検証してからにしてもらいたいというのが私の基本的な意見です。そしてここでいう他の案とはアストラムのマスタープランを放棄している以上、既存のアストラムの活用を一から練り直した案も含めるべきだと考えます。営業赤字に陥っているアストラムの経営の梃子入れを兼ねた案が出来るならそれに超したことはないからです。
これから私の考える案、及びその実現可能性を検討して行きたいと考えています。
従来この区間は広島電鉄の路面電車がメインの交通手段であり、それをバスが補完するという形を取って来ました。しかし路面電車は現在でも朝夕のラッシュ時を中心に定時性が確保されておらず、しかもラッシュ時の混雑は相当のものがあります。そこで路面電車に替えて地下鉄の導入が過去に何度か検討されてきましたが結局実現されず、平成11年に広島市はメインルート(相生通=電車通り)からおよそ500㍍南の平和大通りに新交通システム(東西線=JR広島駅~JR西広島駅)を通し、路面電車はそのまま残すことを含む「広島市の新しい軌道系交通網のマスタープラン」を策定し一応の決着をみました。しかしこのプランは、一番必要性が高く黒字化も視野に入る東西線を建設するためには、車両基地の問題等で、需要が最も薄く大赤字必至の西風新都線(広域公園~JR西広島)を先行して建設せざるを得ない仕組みになっています。このように必要性の極めて薄い路線が抱き合わせになっている計画のため、当然ながら建設費は膨大になりますし(南北線を含めて3000億円なので、東西線と西風新都線だけだと2500億円程度と推測できる)、建設後の黒字化もかなり厳しいことが予想されます。
最近になって、このマスタープラン実現を建前とする広島市は、近年の財政逼迫で西風新都線以外の路線の建設を事実上諦めLRT推進に舵を切ることを明らかにしました。つまり一番必要性の薄い路線だけ残して後は事実上建設を放棄したのです。大赤字になることが必至な西風新都線の建設だけをあきらめないというのも変な話なのですが、その点は後のエントリーで触れることとし、まずは都心部の交通をLRT化することについてです。
わたしは当初この問題に関心がなかったため、「LRTでいいんじゃないの?」と単純に考えていました。しかしよく考えてみると、ラッシュ時の混雑がひどく定時性に欠ける路面電車をLRT化したとしても、【輸送力不足は解消されないのではないか】、また【定時性は確保できるのか】、という点で大いに疑問が生じました。
そこでまず広電のグリーンムーバなどの乗車定員を調べてみたとろ1編成あたり153名で、現在はラッシュ時に1・2・6系統を合計すると1時間に20本あまりの運行しています(およそ3分間隔)。そうすると車両をすべてグリーンムーバにしたとしても輸送力は1時間に約3000人です。
(もちろん定員以上の乗客を運ぶことはできますが、輸送力の比較の上では、とりあえず定員を基本的輸送力とするのが妥当でなので、以下輸送力の比較の上では定員を基準とします)
ただし運転間隔をつめることは可能ということですから、これを2分間隔とすれば輸送力は約4500人/hとなり、1分半間隔にすれば約6000人/hとなります。
それに対してアストラムラインは1編成の定員は約284名で現在ラッシュ時に2分半間隔での運行をしていますから基本的な輸送能力は1時間に約7000人となります。現在の運行間隔をもっとつめられるかどうかについては知識がないので、とりあえずここでは約7000人/hとします。
そうするとLRTを1分半間隔で運転した時の輸送能力とアストラムの輸送力は大して変わらないように見えます。しかしLRTを1分半間隔で定時運行するには困難な問題があります。それは【停留所での乗り降りに時間がかかること】と【信号による時間のロス・運行の乱れ】です。
そのためLRTに本来の輸送力を持たせるためには、「信用乗車システムなどを導入して電停での乗り降りを効率化」し、なおかつ「ラッシュ時に極端な電車優先信号を実施する等」の必要があります。
前者の導入もかなり困難が伴うと言われていますが、より問題なのは後者の方で、後者の問題の解決には「高架・地下化」をするか、少なくともラッシュ時には市内中心部への車両の乗り入れを大幅に規制する「トランジットモール化」を導入する他ないとおいます。そしてトランジットモール化が困難だとすればLRTを地下化または高架化することになろうかとおもいますが、これにはかなりの額の費用が必要になるはずです。仮にそういう手当をしないなら1分半の運行間隔は無理ですから基本的な輸送力は3000人~4500人程度に過ぎないということになりそうです。これはアストラムのおよそ半分~6割程度です。
つまり広電をLRT化しても高架化・地下化を伴わなければ大幅な輸送能力の向上は望めないし定時性の確保も出来ないということです。仮に広電の地下化・高架化を事業化するならそこには多額の税金が投入されることが予想されます。
政府はLRT推進を政策として打ち出していますが、LRTは元々大都市の基幹交通をさばくものではなく、大都市のサブ路線や中小都市で気楽に利用できる便利な市民の乗り物と位置づけるのが一般です。西広島や横川と紙屋町・八丁堀地区を結ぶ路線ならばわたしもLRTに大賛成ですが、広島駅~紙屋町・八丁堀地区をLRTで担わせるのが本当に妥当な選択なのか。他に代替案はないのか。これしかもう残された手段はないのか。
広島市がアストラムのマスタープランを放棄して、輸送能力から見ても中途半端なLRT化を、税金を投入して図るなら、それなりの見通しと他の案より優れているということを検証してからにしてもらいたいというのが私の基本的な意見です。そしてここでいう他の案とはアストラムのマスタープランを放棄している以上、既存のアストラムの活用を一から練り直した案も含めるべきだと考えます。営業赤字に陥っているアストラムの経営の梃子入れを兼ねた案が出来るならそれに超したことはないからです。
これから私の考える案、及びその実現可能性を検討して行きたいと考えています。
ご訪問ありがとうございます。多分2ちゃんから来られたのだと思いますが、このページは昨晩(平成20年5月27日深夜)開設しました。今晩くらいから仕事の合間にちょくちょく更新し、最低限半年はしっかり管理して行くつもりですので、よろしくお願いします。